新潟県生活と健康を守る会連合会
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会の目的

「生活と健康を守る会」は、生活保護や税金申告、国民健康保険料や介護保険料の減免、医療費、公営住宅家賃、公私立高校授業料の減免など、暮らしに必要なあらゆる制度を活用し改善する運動をしています。また文化、レクレーションなどの日常要求も取り上げ、豊かでうるおいのある暮らしをめざしています。

「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」を合言葉に、要求をひとつにして手をとりあい家族ぐるみのふれあいや、お付き合いを大切にして地域をすみよくする運動をしています。

不況をなくして仕事の保障を、生活費に税金や保険料をかけないで、高校までの教育費を無料に、「弱いもの」いじめの人権侵害をやめて、いじめをなくしてどの子にも行き届いた教育を、と運動しています。

仕事や生活費のこと、子育てや教育のこと、医療や住宅、障害者・高齢者のことなど、ますます暮らしが大変です。皆さんが日々の生活での今やってほしいことなど、願いや要求がたくさんあります。「生活と健康を守る会」は憲法第25条の生存権を確立するために、協力し合って要求を解決したり実現している会です。「生活と健康を守る会」に入会して、一緒に運動しませんか。

憲法をくらしに活かしましょう

全国生活と健康を守る会連合会(全生連)は「働かせろ!食わせろ!病気をなおせ!」のスローガンをかかげて、創立以来40年間にわたって、人間らしく生きること(生存権保障)を求めて運動をひろげ、国や自治体に暮らしに役立つ、たくさんの制度を実施・改善させてきました。

そして全生連・生活と健康を守る会は、今から18年前、人間が人間らしく生きていくための原則や権利要求を明らかにした『くらしと健康の権利宣言』(1976年7月)を発表しました。

今年(1994年)11月20日、全生連創立40周年記念日を期して、長年にわたる生存権保障の運動の実績にもとづき、ここに『新・くらしと健康の権利宣言』を発表し、『わたしの権利手帳―憲法をくらしに』に収録することにしました。

歴代の自民党政治と、その政策を継承する新旧の連立内閣は、軍事費をふやしつづけ、自衛隊の海外派兵も強行しています。また、消費税の税率アップや社会保障の大改悪をねらっています。

みなさん!

戦争放棄をかかげ、人間らしく生きる権利の保障を定めている憲法や、その精神にのっとってつくられた諸法律が、今ほど大事で必要なときはありません。

この『わたしの権利手帳』は、全生連の「新・権利宣言」と、日本国憲法、それに世界憲法ともいうべき「世界人権宣言」と「国際人権規約」を収録しました。

一人ひとりが、いつも座右において親しみ、カバンやハンドバッグに入れ、機会あるごとに読みかえし、学び、普及させましょう。

みなさんが、国や自治体に要求をだしていくときや、日頃の班会・小集会などの集まりのなかで、この『権利手帳』を活用して話しあい、行動をおこしましょう。

「主権者とは、権利・法律を行使できる人である」と言われます。「会員が主人公」である「生活と健康を守る会」に団結し、その力で、人間として生きる権利を行使しましょう。主権者・国民が、21世紀にむけ、人間が人間らしく生きることのできる社会づくりめざし、ともに力をあわせて、草の根からの運動をひろげていきましょう。

1994年11月20日
全国生活と健康を守る会連合会

1.はじめに
全国生活と健康を守る会連合会は、1994年11月20日、創立40同年を迎えました。この間、人間らしい生活=生存権要求をかかげて国や自治体に、くらしに必要なたくさんの制度を実施・改善させてきました。

全生連・生活と健康を守る会は、最近でも、92年4月には白内障・眼内レンズへの保険適用を実現させたり、国民健康保険料(税)を各地で引き下げてきています。秋田の加藤さんと京都の柳園さんの生活保護人権裁判では93年に全面的に勝利しました。そして94年9月には、国に生活保護でのクーラー(ルームエアコン)保有を認めさせました。全生連は、きびしい攻撃のもとでも草の根からの全国的な運動によってこのように歴史を切り開く画期的な成果をあげてきました。

私たちは、1976年7月、「くらしと健康の権利宣言」を発表しました。その後、長年にわたる生存権保障の運動の実績や教訓にもとづき「新・くらしと健康の権利宣言」をここに発表します。そして、21世紀にむけ、“人間が人間らしく生きることのできる社会”をめざして、「新・権利宣言」を高くかかげて、あらたな前進へと奮闘するものです。

2.「権利宣言」の大事さをしめす状況
昔は「ケガと弁当は手前持ち」と、貧乏は本人の責任と言われました。しかし国民はだれ一人として、自分から好んで失業・倒産したり、病気やケガをする人はいません。いずれも直接・間接を問わず社会的・政治的な原因によるものです。

国連の「世界人権宣言」(1948年)でも「すべて人間は、生まれながら自由で尊厳と権利について平等である」「すべての人は社会保障を受ける権利を有する」「何人も、生存、自由、および身体の安全を享有する権利を有する」とのべているように、生存権をはじめとする基本的人権は、国や大企業の責任と負担において社会的に保障すべきことを明らかにしています。
「世界一の金持ち国」と言われているこの日本で健康保険証の末交付・取り上げによって病気になっても、医者にかかれなかったり、生活費がなくなって、福祉事務所を訪ねても申請用紙すら渡されないことが、日常的・一般的になっています。

また「過労死」や大企業の海外進出(産業空洞化)や企 業合理化による失業の増加、行政しめつけによる人権侵害 死・孤独死、自殺や一家離散など深刻を事態が広がっています。
それは80年代いごの自民党政治と、それを引きつぐ連立内閣が強行する臨調(臨時行政調査会)「行革」路線による軍備拡張、アメリカと大企業中心の政策のためです。こうして、福祉・教育が切りすてられ、くらしに困り人間として生きる権利の侵害に苦しむ人びとはふえつづけ、貧富の差が広がってきています。

歴代の政府は、国のやることは外交と軍事であって、国民には国の責任をなげすてて、自分のことは自分でせよ、国や行政にたよるなと「自立=自助」「相互扶助」をおしつけています。
自民党政治を継承し、おしすすめる連立内閣は憲法25条を全面的にふみにじる「21世紀ビジョン」や「社会保障将来像」を打ちだしています。このなかで自分のことは自分・家族でやり、国民どうしの負担によって支えあうという「相互扶助」を“社会保障の心”とする考えや思想を国民のなかに強くうえつけようとしています。
そのために、次からつぎへと各制度を改悪し、生活保護や国民健康保険、就学援助などのしめつけをいっそう強めながら、年金や医療保険では、ボーナスや生活用資産にも保険料(税)をかけ、入院給食費や薬代などを患者負担としたり、介護も国民が負担する介護保険にすべきだとしているのです。

3.くらしと健康を守る5つの原理と権利要求の10原則
日本国憲法や世界人権宣言にあるように、動物とちがう人間は、自由で独立した人格の担い手であり、人間としての権利(人権)を平等に持っています。

しかし、現実の社会では、貧富や性別、年齢、健康、環境などがちがい、自由や人権が保障されても、それを使うことのできない人びとがたくさん生まれます。

生存権とは、人間としての権利や尊厳を差別なく、平等に保障し、人間らしく生活のできるようにする権利で、あらゆる人権の要(かなめ)です。憲法では、第25条をはじめ、教育権(第26条)、労働権(第27条、28条)、幸福追求権(第13条)などで生存権を保障しているのです。

私たちは「一人の生命は全地球より重い」と最高裁判所でも判決したように、すべて国民が人間としての尊厳が守られることを一貫して追求してきた全牛連・生活と健康を守る会運動に誇りと確信をもち、次の5つの原理と権利要求の10の原則を高くかかげて社会的役割をいっそう積極的に果たすものです。

くらしと健康を守る権利要求の10の原則に共通する5つの原理

(1)

生存権保障は、国民一人ひとりに受ける権利と請求する権利、争う権利を明確に定め簡単な手続きで保障されなければなりません。

(2)

生存権保障の水準は、「健康で文化的な最低生活ができる」ものでなければなりません。

(3)

生存権保障は、すべての人びとにたいし、公正・平等に自由と人権を保障するためのものであり、社会保障などを受けることによって、自由と人権が差別されてはなりません。

(4)

生存権保障の財源や費用負担は、国と大企業の責任で行われなければなりません。

(5) 生存権保障の制度運営の民主化と資金の民主的な管理には、全生連・生活と健康を守る会のような生存権運動に関わる国民代表の参加が保障されなければなりません。
以上の生存権保障の前提となる5つの原理をもとにして、憲法第25条をはじめとする生存権保障について、少なくとも次の権利要求に欠かせない10の原則が直ちに実現されなければなりません。

くらしと健康を守る権利要求の10の原則

1.働く権利

2.生活費保障の権利

3.健康と医療の権利

4.税金の生活費の非課税と自主申告の権利

5.子どもの発達する権利

6.住居と環境の権利

7.文化活動やレクリエーションの権利

8.平和に生きる権利

9.地方自治の権利

10.権利行使と運動する権利

1.働く権利
高齢者や障害者、女性、出稼ぎ農民をふくめて誰もが、希望と条件、体力にあわせて働く権利があります。
(1)

内職やパートをふくめ、人間らしい生活ができる全国一律の最低賃金制や農業、漁業の価格保障制度が確立されなければなりません。

(2)

働く意志のあるすべての人に、所得保障を伴う職業訓練の確保、不況などによる大企業の首切りは規制され、失業者には、その期間、十分な失業給付が制限なしに給付されなければなりません。

(3)

すべての人びとに、安全で健康に働ける労働条件や、育児、介護・看護には賃金・所得保障を伴う休暇が保障されなければなりません。

2.生活費保障の権利
年金や生活保護、児童手当、児童扶養手当などの家族手当の所得保障は、冠婚葬祭をはじめ社会的なつきあいや、家族での文化・レクリエーション・スポーツをふくめ、健康で文化的な生活がおくれる水準で必要なすべての人びとに請求する権利と受ける権利があります。
(1)

各給付額は毎年、物価や賃金の上昇率にスライドして、引き上げられなければなりません。

(2)

各制度ごとに次の原則を確立すること。

〈1〉 年金は保険料を納められない人を含めて、生活できる最低年金が保障・確立されなければなりません。
〈2〉 生活保護の行政は、自由と人権を保障するように行わなければなりません。生活保護は本人の請求にもとづき、個人を単位として無差別・平等に保障され、調査や指導・指示は本人の同意なしに行ってはなりません。
〈3〉 児童手当と児童扶養手当は所得制限なしにすべての子に高校卒業まで保障され、プライバシー(個人の生活を守る権利)を侵害してはなりません。
3.健康と医療の権利
だれもが、いつでも、どこでも、病気やケガから守られ、最高水準の医療と健康を求める権利があります。
(1)

予防・治療・リハビリテーション・介護などの総合的な保健・医療制度を確立し、費用負担の心配なく、必要で十分な保健・医療を受ける権利が保障されなければなりません。食品の安全や公害対策、流行病の防止などが確立されなければなりません。

(2)

各制度ごとに、次の原則を確立すること。

〈1〉 高齢者や障害者、子どもの医療と難病、結核・精神保健は、医療保険とのセットでなく、全額公費負担でなければなりません。
〈2〉 国民健康保険などの医療保険は、無差別・平等に保険給付が保障され、保険証の未交付や「資格証明書」などは直ちに廃止されなければなりません。最低生活費から保険料・税をとってはなりません。
〈3〉 公費負担医療でも医療保険でも、予防・治療、リハビリが保障され、治療中の生活費も保障されなければなりません。
〈4〉 介護の費用は、全額、公費負担で、必要な水準の額が、本人に給付されなければなりません。
4.税金の生活費の非課税と自主申告の権利
税金は直接税、間接税とも生活費に課税してはなりません。また、その使い道は福祉など国民生活につかわれなければなりません。
(1)

低所得者・高齢者ほど負担が重い消賓税は廃止されなければなりません。

(2)

所得と税額は自分で決める権利があり、自主申告は住民税でも厳守されなければなりません。

(3)

住民税・所得税や国定資産税などの税金、国民健康保険料・税などの社会保険料、保育料などの負担は生活費にくいこんで徴収してはならず、また減免制度が拡充されなければなりません。

(4)

税金は所得の高い人と不労所得に重く、所得の低い人や勤労所得には軽くなくてはなりません。

(5) 税金は、国会・地方議会で決める租税法律(条例)主義が厳守され、国民・住民の意思を十分に反映しなければなりません。
(6) 税務行政では不当な推計課税や事後調査をやめ、収支内訳表を廃止するなど人間の尊厳を守るものでなければなりません。
5.子どもの発達する権利
すべての子どもは、人間として尊ばれ、心身ともにすこやかに生まれ、のびのびと成長し、発達する権利があります。安全で健全を環境のなかで育てられ、平和で民主的な教育が保障されなければなりません。
(1)

出産の費用や保育をふくむ養育の費用は、父母負担なしの社会保障制度で完全に保障されなければなりません。義務教育は、授業料や教科書だけでなく、すべての費用が親の所得に関係なく、無償でなければなりません。

(2)

高校は、準義務教育制とし、希望者全員の入学が保障されなければなりません。

(3)

就学援助は予算にかかわりなく、希望者に対して所得基準にもとづいて給付されなければなりません。

(4)

どの子にも基礎的な学力と体力、自立的判断力などが身につくように学級人数を少なくし、生活態度まで点数化したり、「日の丸」「君が代」を義務づける新学習指導要領は廃止されなければなりません。

(5) 高校・大学には、給付制による奨学金制度を充実・確立し、私学の負担は国公立なみに是正されなければなりません。
6.住居と環境の権利
だれもが、健康的で安い住宅と安全な環境のなかで住みつづける権利があります。
(1)

希望者全員が入居できる低家賃で良質の公共住宅が保障され、また、減免制度が拡充されなければなりません。

(2)

低所得者には、民間家賃補助が保障され、不当な家賃値上げや立退きは規制されなければなりません。

(3)

社会生活に必要な住宅や在宅福祉の施設、医療機関や保健所、学校や図書館、遊び場や公園、スポーツ施設、広域にわたる交通網などは公的責任で確立され、民主的に管理・運営されなければなりません。

(4)

生活環境は、だれもが安心して住み、生活できるように、交通安全対策や自然・環境への保護が十分に保障されなければなりません。

7.文化活動やレクリエーションの権利
だれもが、健全な文化活動やレクリエーション、スポーッをおこない、楽しむ権利があります。
(1)

自主的で民主的な文化活動やレクリエーション、スポーツ活動が十分にできるように労働時間の短縮などがおこなわなければなりません。

(2)

だれもが、いつでも、どこでも、無料か、安い料金で、利用できる制度や施設などが確立されなければなりません。

8.平和に生きる権利
日本国憲法は「国民は平和のうちに生存する権利を有する」と明記しています。解釈上も条文上も憲法の改悪は許されません。平和と民主主義をおびやかし、軍国主義の復活・強化につながるいっさいの策動は排除されなければなりません。
(1)

日米安保条約は廃棄し、米軍基地を撤去、自衛隊は解散し、基地による被害は完全に補償されなければなりません。

(2)

核兵器の廃棄は緊急に実現されなければなりません。そのために国際協定が結ばれなくてはなりません。

(3)

軍備拡張、自衛隊の海外派兵はいかなる名目でも許されず、国際貢献は非軍事的でなければなりません。

(4)

第2次世界大戦の侵略戦争の責任を明確にし、被爆者への補償(被爆者援護法の制定)とアジア諸国・国民への十分な補償が国の責任と負担でおこなわれなければなりません。

9.地方自治の権利
住民には、住民の手による住民のための地方自治を要求する権利があり、国にはそれを保障する義務があります。
(1)

生存権保障制度は、実施責任を担(にな)う自治体の自らの判断と責任で自主的、民主的に運営されなければなりません。

(2)

地方自治体を国の下請機関にする地方「行革」は、中止されなければなりません。

(3)

住民の権利・利益を守るためには、申請手続きと認定基準、不利益処分には具体的な基準が明定されなければなりません。

10.権利行使と運動する権利
すべての人びとが、生存権をはじめとする基本的人権にもとづく権利を行使することができます。
(1)

制度制定へのすべての人びとの参加権や受ける権利と請求する権利は具体的に明定し、保障されなければなりません。

(2)

審査請求や異義申し立て、裁判など争う権利には、だれもがたやすく行使できるように手続きの簡素化、裁判費用の保障を含めて改善されなければなりません。行政不服審査など審査機関には、生活と健康を守る会の代表を含め、行政から独立した第三者機関によっておこなわれなければなりません。

(3)

「生活と健康を守る会」など民主団体には労働者の労働基本権と同じように団結権や団体行動権とともに、裁判所の判決(1972年8月29日・鳥取地裁)でも明らかなように、自治体や国との団体交渉権が完全に保障されなければなりません。